コラム

それは本当に意欲の問題か?

2016.8.9

女性活躍推進を進めるにあたり、特に数値目標が掲げられている管理職層への登用においては「女性本人の意欲」が問題である、という話はよく出てきます。確かに「特に管理職になりたくない」「このままでいい」という声は圧倒的に多く聞かれ、もはや「なりたい」はもちろん、「なってもいいかもしれない…」という声さえも出しにくいのではないかとみています。女性においては、周囲から抜け出す、一人だけ違うことを言う、ことに抵抗を感じる傾向は強いと思います。

ここで改めて考えてみたいのは、上記の声は「女性本人の意欲」の問題なのか、ということです。女性本人の意欲が上がっていないのは確かなのですが、問題の所在をそこに置いてもいいのかという視点です。

ダニエル・キムは、成功循環モデルの中で「思考の質に大きな影響を与えるのは関係の質」であるといっています。女性本人が「管理職にはなりたくない」と思考するのは、上司との関係、同僚の女性との関係、先陣者である女性管理職との関係…等、様々な関係の質が大きく影響を与えているのではないでしょうか?
様々な、女性本人を取り巻く関係性が、管理職候補にしたい女性たちの中にブレーキを築き、「なりたくない」「なると言ったらまずい」「なると言うのはやめておこう」といった思考を進めさせているのです。

だから、私たちは「女性の意欲をあげてください」という類のオーダーを頂いた場合「ご本人たちへの働きかけと同時に上司にもアプローチをさせてください」とお願いしています。結局、職場という日常の関係性が変わらなければ、一瞬の変化しか期待できないからです。職場の関係性の責任を担う上司へのアプローチは必須事項であると考えています。

また、先陣の女性管理職からのアドバイスをもらう場を設定したい、というお考えには、大体の場合、あまり効果が期待できない旨をお伝えしています。結局、「あの人と私は〇〇が違う」という言い訳を創り出すだけの機会になりかねないからです。
もしもそのような先陣とのつながりを作りたい場合には、女性本人からつながれるような仕掛けをつくる方が効果が高いでしょう。

女性本人だけでなく、関係性に目を向けた、本質的な打ち手が必要なのです。

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