コラム

「R職の壁」って、聞いたことありますか?

2016.1.19

「R職の壁」って、聞いたことありますか?
昨年夏に発行されたAERAの特集で出会った言葉です。

R職とは、HR(人事)、MR(マーケティング・リサーチ)、CSR、PR、IRなど、アルファベットのRがつく職種を指します。これらの職種に子育て中の女性比率が高くなる現象が起きている会社があると聞いて、なるほどと思われる方は多いでしょう。
イメージとしては、本社勤務で、ある程度業務時間のコントロールができる職種であり職場。例えば現場勤務の女性が、出産を機に働き方の変更のため異動を希望するケースは多いでしょうし、決してネガティブな意味合いではないと感じます。
しかし、「壁」です。背景には、R職の職場のほとんどが女性で、マミートラック※的なイメージ(会社によっては、事実に近い状態)ができつつあるという事情があります。※マミートラック:仕事と育児の両立は実現できても、昇進出世と縁遠いキャリアコースのこと。
R職へと異動になった結果、キャリアアップ・昇進出世から離れてしまうから、「壁」なのです。

それが事実だとしたら、暗黙のルールとしてそのように人材配置を行っている会社があるとしたら、非常に残念です。
一方で、会社が意図した結果ではなく“何となくそういう印象になってしまった”ということであれば、それこそ「自分はマミートラックに乗った(≒もう期待されてない)」と認識することは本人にも、そして会社にも全く良いことがないわけですから、変えていく必要があります。

うちの会社は大丈夫 と思っていらっしゃる方も、ちょっと一緒に確認してみましょう。

■産育休中はほぼ連絡とらず、復職直前に「いつからどの部署に復職して」の事務的連絡だけになっている?
→ 産育休は本人にしてみればまとまった時間の中でゆっくり先のことを考えるチャンスでもあります。休み中の連絡に遠慮もあるかもしれませんが、会社として、上司として多少なりとも関わっていくことが必要かもしれません。復職後の迎え入れ方が大きく変わります。
何より、本人の心の準備との接続がない「唐突な異動の提示」こそが、危険です。

■復職時に、直近の仕事内容&働き方の話中心で、中長期のキャリアの話をしていない?
→ 迎え入れるにあたって、直近の具体的な動きの話も重要ですが、変化のタイミングだからこそ中長期的なキャリアの話もこのタイミングでしておくことが大切です。
出産前までに身につけた知識スキルが異動によって無価値になるわけではありませんが、領域特有の知識・スキルに関しては専門性の断絶もあり不安を感じるものです。
さらには、ゼネラリストからスペシャリストが求められる時代へ — 何かしらの専門性を持っていなければ、この先のキャリア形成は厳しい — と言われ始めて数年。働く女性たちから、自身の専門性への不安を耳にする機会も多いです。
これまでに鍛え上げたスキルと新たな仕事で獲得可能なスキルを接続することで、今後どのような成長の可能性があるのか?どのような貢献を求めていきたいのか?そんなコミュニケーションが欲しいタイミングです。

■ひいて見れば片道切符&本人への期待や要望を伝えていない?
→ 意図してなくとも、育児が落ち着いた後も現場に戻る人材がいない というケースはあるでしょう。象徴的な人事異動によって「マミートラックではない」というメッセージを発する機会を探って行く必要があるでしょう。もちろん、本人の希望もふまえつつ。
あとは「育児中だから大変だろうし、、、」という遠慮から、期待も要望もしていない状態です。これは完全にマミートラック状態です。期待も要望も、度合いです。ゼロではモチベーションも生まれませんし、成長もありません。

出産育児で仕事を辞めるのではなく、働き方を変えることでキャリアを継続することができるようになりつつあります。
働く理由は人それぞれにせよ、働く選択をした以上は、本人にとっても、会社にとっても、良い循環が生まれる状態を目指して行ければ と思うのです。

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