2015.11.26
みなさんの企業では、女性活躍推進、ダイバーシティの施策として、どのようなことに着手しているでしょうか。
施策は大きく、
①制度系 :育休制度、時短制度
②啓蒙系 :外部有識者による講演、セミナー
③学び系 :人材研修、e-learning
に分けられます。
今回は、①制度系施策の落とし穴について考えてみたいと思います。
企業は多くの場合、分かりやすく効果の高い諸制度の導入に踏み切ります。女性の離脱(離職)を防ぐためには、
離脱の多いライフイベントである出産を、企業も本人も乗り越えなければなりません。
そこで、育休制度、時短制度などのサブシステムを”付け足して”導入します。
これらは瞬間的に女性の離脱に効果が出るでしょう。
しかしながらこれが本柱の人事制度(経営のメッセージ)と齟齬をきたしていることがままあります。
サブシステムは「子どもがいても復帰して活躍してね」と言っているのですが、
本柱の人事制度は、「しのごの言わず会社に尽くした人を褒めますよ」
「地域や時間に制限をつけない人に働いて欲しいです」とより声高に叫んでいることがあるのです。
少し話をずらしますが、人事制度は長年に渡って企業のメンタルモデルを作っている構造です。
構成員をどう並べて、何を褒め、どう報いるか、という経営からのメッセージを、無言で饒舌に伝え続けます。
事業環境の変化から、経営がよかれと思ってパッチワーク的に付け足しを重ねた制度は、
どんどん違うメッセージを発し出します。
実際に経営者が話していることと、人事制度から伝わるメッセージが合っていないという事態は、よく起こっています。
現在お手伝いしている人事制度改定のプロジェクトにおいても、この現象がみられました。
よかれと思って付け足しが続けられたパッチワーク制度は、狙いとは異なるメッセージを発した挙句、
社員には複雑すぎて理解不能なもの、になってしまっていました。
話を戻しますと、サブシステム導入の段階で、
今一度、自社の人事制度が発している経営のメッセージを考える必要があります。
サブシステム導入を組み入れた上位の方針と照らし合わせ齟齬はないか。見極める良いタイミングです。
そして、同時に人事制度改定を視野に入れるべきでしょう。人事制度の賞味期限は長くて5年。
当面は必要な付け足しを行いながら、改定を見据えておくことをおすすめします。