2015.10.28
オーセンティック・リーダーシップ — 女性管理職育成の文脈で、よく目にも耳にもするキーワードです。
ごく簡単に説明すると、
Authenticity=真の自分であること、本当の自分らしさであり、
自分がどういう人間なのか、大切にしている価値観は何か?に根ざした、
自分に適したリーダーシップの執り方です。
これまで、時代の流れ、社会の変化に沿って、リーダーシップとはこうあるべき、
と理想的なスタイルが語られてきましたが、オーセンティック・リーダーシップは、
そもそもリーダーシップスタイルは人によって違ってOKと置いています。
これが女性活躍推進の文脈においては、
「これまでの、指示命令、統制型に象徴される男性的なリーダーシップを、
女性管理職も同じように発揮しなければならぬことはないよ。“自分らしい”スタイルでいいんだよ。
(“女性らしい”では無いことに注意です!)」
と語られ、リーダーに挑戦しようか否かと悩む女性たちの背中を押してくれています。
たとえば、女性リーダー育成の専門家としては、IMD(スイスのビジネススクール)の
ギンカ・トーゲル教授は有名ですが、教授もこのオーセンティック・リーダーシップを提唱し、
女性リーダーを対象にプログラムを提供しています。このプログラムは、
世界の名だたるグローバルカンパニーの女性エグゼクティブたちが、多く参加していることで有名です。
実は少し前に、縁あってこのプログラムを受講された方とお会いする機会に恵まれました。
その方が、オーセンティック・リーダーシップについて、「リーダーシップの発揮は相手あってのものなので、
自分自身に深く根ざしたものでありながら、チームメンバーのレベルや状況、
要望に応じてモディファイ(部分的に修正)していくしなやかさが必要。」とおっしゃっていたことが印象的です。
「こうあるべき」「こうすべき」ではなく、「どうしたい?」「どうありたい?」に基づきながら、
相手との対話によって修正も加えて行くという、とても柔軟性のある考え方であり、
一方でそれはつまり、自ら解を描き、描きつづけて行くということを意味する、
難しさも併せ持ったものだということです。
その難しさも踏まえた上で、「自分らしいリーダーシップでいいよ」という
優しい応援メッセージで終えるのではなく本人に対しては「リーダーへの挑戦」に必要な支援を、
周囲に対しては「それを前向きに受け入れる会社・職場への変革」の支援をしていくことが、
女性リーダーが多く生まれ、真に活躍する会社・社会へと近づいていく為に必要だということを、
オーセンティック・リーダーシップについて考える日々の中で改めて強く思った今日この頃でした。