2015.7.22
在宅ワークの仕組みは、今や多くの会社で用意されていると思います。
が、私の周囲ではその仕組みを実際に活用しているワーキングマザーはほとんどいません。
皆さんの周囲ではどうでしょう?
そんな中、先日、とある有名大手企業に勤務する友人のAさんが「来週、初の在宅ワーク!」
と言うので、話を聞いてきました。
削減した通勤時間を家事育児に使えるのはかなり嬉しい!という話は前提に、
彼女の話で印象に残ったのは『在宅ワークとはいえ勤務時間は固定。パソコンのログインタイムも厳格な管理下。
いつもより早く仕事に取り掛かることも、終えることも、出来ない。』という話。
「今、取りかかりたい!」という気持ちを抱えながら時間が過ぎるのを待ち、
「本当はここまで終わらせたいのに。」という気持ちを抱えながらシャットダウンするのだと嘆いていました。
なんだかとても「惜しい!」と感じました。
在宅ワークの仕組みが、移動時間の削減・育児や介護への補助的な機能にとどまってしまうのは。
ちょっと極端な事例をご紹介します。
少し前に、欧米の先進企業のワーキングスタイルについて調査する機会があり、
そこで出会った企業の一つにBasecamp(旧社名は37シグナルズ)があります。
オンラインプロジェクト管理ツールを提供している会社なのですが、
面白いのは、従業員が住む場所と働く場所が自由に選択できるという仕組み。
従業員数50名弱で、遠隔勤務で働くメンバーは世界26都市(海外含む)に散らばっています。
Basecampのホームページで紹介されるワークスタイルの紹介するムービー(今も公開されています)や、
Basecampの働き方を紹介した書籍「REMOTE」(日本でも発行)では、
一人ひとりが最も高いパフォーマンスを出すために、生産性を最大化するために各々が真に心地よく
快適な環境を自由に選択するワークライフが紹介されています。そんな彼らの提供する商品は、
米国の売上上位500社(Fortune500)の内、321社に使用されたという実積を持っています(2011年実積)。
また、イギリスのクランフィールド大学経営大学院は一流企業数社(マイクロソフトやファイザーが含まれている)
に2年間にわたる調査を行い、「柔軟なスケジュールで働く人材ほど、仕事の量も質も高い」
という結果を発表しています。その理由としては「自分でコントロールできるスケジュールの
おかげでストレスが減って生産性が高まったから。」が一番に上げられていました。
在宅ワークの幅を広げて行く為には、情報管理、労働時間管理、育成ほか、様々対応すべきテーマがあります。
100%在宅ワークが良いとも思っていませんし(チームで仕事する以上直接会ってコミュニケーションは大事です!
&ビジネスモデルや職種によって在宅ワークが難しい仕事もありますよね)。
ただ、この仕組み自体の設計・運用を「移動時間の削減・育児や介護への補助」から、
「仕事の質・生産性向上」の視点で発展させることができたら、もっと高い効果を生み出せるはず。
とは思うのです。
特に、仕事・家事・育児の時間を日々マネジメントしながら働く母たちにとって、仕事をする場所や
時間のちょっとした柔軟性やコントロール可能性の高さがもたらす効果は、かなり大きいはずです。
仕組みはあるけど上手く活用できていないと感じている皆さんは、思い切って上司に
相談・要望してみてはどうでしょうか?
仕組みを提供する側(人事、経営企画、ダイバーシティ推進室など)の皆さんは、
目的・効果を今一度見直してみる、部分的にでも思い切って裁量を与えてみることで、
組織成果の向上に挑戦してみませんか?