コラム

何が問題?―問題の本質を考える

2015.6.25

今日は、問題の本質はどこかを考えてみたいと思います。
このテーマが語られる時、どんなことが具体的な困りごとなのか。表出している事象はなにか。
企業内に焦点をあてて考えてみます。

1.何に困ってるのか?
『女性の経営職、部長職、管理職、が少ない。男性よりもはるかに少ない。』

企業が困っているポイントはここです。
ついこの前までは職階ごとの男女比率など誰も気にしていなかったのに、気にしなければならなくなった。
そこが結果として求められるようになった。突然新しい目標を提示されて戸惑いを隠せません。
(上場企業3,608社において女性役員(執行役員は含まない)数は505人(1.2%)
平成23年5月現在:男女共同参画白書より)

2.なぜ起こるのか?
『あげたくないから。』

あげてはいけない制度や決まりがあるわけではないから、あげたくない、が理由です。
(制度や決まりがある場合は心からあげない宣言をしていると捉えられます)
誰が?トップが。経営層が。いえ、社内みんながです。

3.なぜあげたくないのか。

『適材がいないから。量も質も。』
採用段階では「女性の方が総じて優秀なんだよね〜、フタ開けてみたら女性の方が多くてさ」な状態でした。
そんな方々はいつの間にか候補から姿を消しています。ここで言う、質は、能力だけではなく意欲も含みます。

4.なぜ、適材がいないのか。
①辞めてしまう。  :本当にいなくなってしまう。
②質が足りない。  :能力も意欲も未達。
③見過ごしている。 :候補がいても、気づかないふりで見過ごす。

「うちの場合は、女性に意欲がないから」と言いたいご担当の方もいらっしゃると思うのですが、
それは、意欲を育んでいないから。高める対象は、能力と意欲双方です。

5.①-③はなぜ起きるのか。
この①-③はストーリーをもって絡み合います。この辺りから企業ごとに特徴が表れます。
「同じ能力なら男性を先にあげる」と、無意識のバイアスで適材を見過ごしたばかりに、
「結局頑張っても報われない気がする…」と、ポテンシャルを持った女性の意欲が下がり、
「やっぱり厳しいよね~、女性は」と、更にレッテルを貼ってしまうから、ますます育たない。→②

違うストーリーでは、
「やっぱり男性の方が使い勝手がいいな」と、上司は自分が育てられたパラダイムのままでいるから、
「この難しめの仕事は男性にやらせるか」と、マネジメントしやすい方に流れ、
「頑張ってるのに認められない」と、女性が辞めていく。→①

それ以外にも、
時間や生活に制限のない”男性と同じに働く”女性が選ばれしものとして君臨しているから、
そうでない人は「それなりに働くことを選んだ」ことになっていて成長機会を抑えられてしまい、
「本当はもっと成長したい、もっとできる」と、願っている声は届かないまま見過ごされる。 →③

…等。現場の声に耳をすますとこの問いへの答えが聞こえてくると思います。

6.結論
女性本人、上司・同僚、人事、経営…一人一人のメンタルモデル(意識・無意識)、関係性、職場や組織の風土が、
このテーマにおける成功の鍵を握っていると考えます。
他社がやっている取組みや制度をそのまま真似てもうまくいかないのは、この「土台」が違うから。
これまで培われた意識・無意識を変えるのは、時間もパワーもかかりますが、ここに着手したところから
本質的な解決につながっていくのではないでしょうか。

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