コラム

女性活躍推進 これからのテーマは。

2023.6.14

先日、ある企業A社様で経営層向けに女性活躍推進の勉強会を実施する機会をいただきました。

経営企画部のご担当には、
経営層と女性活躍推進の目的がすり合わない
例えば、『女性はお子さんできたらちゃんと休みたいんじゃない?その方が良い会社だよね?』と言われてしまって… 」
といったお悩みが。

女性活躍推進といっても1社1社事情が異なるため、bouquetでは、個人と組織の状況を見立てて、そこに合わせて施策内容を設計しています。
A社様の経営層の皆さんには、数値を用いて世の中の流れと自社の状況をご理解いただき、「どう思う?」と本音で対話していただきました。

今回は、そこでお話しした内容をサマリーしてみます。

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女性活躍推進、いつのまにかあまり聞かれなくなりましたね。
働き方改革、男性育休など、トピックスとして語られることはあっても。
共働きも増えてるし、うちの女性社員もみんな活躍してるし、完了したのかな? と思いますか?
実は全然完了していませんよ。。。

M字カーブは解消されたよね?

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一時期の女性活躍推進において重要な指標としてあげられていたのが、このM字カーブです。 ざっくり言うと20代で高い女性の就労人口は、出産育児の世代で減少し、育児がひと段落した50代で再び増加に転じることを表したものです。

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出典:内閣府男女共同参画局ウェブサイトhttps://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo02-04.html

たしかに、ほぼ、解消されました。 結婚、出産等のライフイベントで仕事を辞めることは過去のことになったと言えるでしょう。

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じゃあ、女性活躍推進の目標はどうなった?

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政府は2003年に、
「社会のあらゆる分野において、2020年までに指導的地位※に女性が占める割合を少なくとも30%程度になるよう期待する」
との目標を掲げました。※指導的地位とは課長相当職以上

が、2020年に30%は難しいと判断され…

「 2030年代には、誰もが性別を意識することなく活躍でき、指導的地位に ある人々の性別に偏りがないような社会となることを目指す。 」
「 そのための通過点として、2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるよう目指して取組を進める。」
と変更されました。
(引用:男女共同参画局 第5次男女共同参画基本計画 R2年度 より)

では、指導的地位に占める女性の割合はどうなっているかというと…

図 : 女性管理職割合(課長相当職)の推移

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出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構 ウェブサイトよりhttps://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2022/10/k_05.html

 

2009年から2021年で2%程度の上昇となっており、ほぼ変わっていません。

10年やったはずなのにほぼ変わってない。(2015年にbouquet社を立ち上げてから何やってたのだろう…と自分を責めたくなるほどです。)

女性は働き続けるように変わってきたけれど、企業内での主導的役割を担う状態にはなっていないのです。

一方で、非正規雇用者数のデータをみると、女性は増加しています。ざっくりしすぎかもしれませんが、M字カーブで取り戻した分非正規で働く女性が増えた、つまりライフイベントを超えた女性は非正規で復職していると言えるかもしれません。

日本の女性活躍はこのように全然完了していないのです。

 

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管理職になることが「活躍」の全てなのか?

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「うちの女性は十分活躍している。管理職にならなくても活躍しているからいい。管理職比率がそこまで大事か?」
このような質問をよくいただきます。

結論、管理職比率は基準として大事です。

1つ目として、世界の基準でも女性管理職比率で推進度は測られています。
もう世界では役員の比率になっているのですが、社外取締役を一部の女性が多数兼任している状態は本質的な解決になっているとは言えません。
まずは管理職比率を高め、そこから役員が生まれてくる、ということが、基準として求められています。
なでしこ銘柄、ESG投資なども基準になっています)

2つ目として、自社の管理職の登用基準に目を向けていただきたいです。
どのような人材が管理職に登用されているでしょうか。
・高いパフォーマンスを創出している
・チームの要として機能している
・顧客からの信頼も人一倍厚い
・メンバーから頼られ、人を育てることが得意だ
…など。

管理職は自社の中でも、何らかの活躍を自他共に認められる方が登用されているはずです。
だとすれば、分かりやすい活躍の基準として管理職比率をみていくことは妥当なことです。

活躍しているなら管理職になってもいいはずなのに、登用されていないのはなぜか…
そちら側の問いを持ってみると良いかもしれません。

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「両立支援」から「戦力化支援」へ

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企業、本人、家族、行政の努力により、ライフイベントを迎えた女性たちも退職の道を選ばず、就業を継続できるようになりました。両立支援をテーマにしてきた女性活躍推進は一定の成果を出したと言っても良いと思います。

これからは、女性が企業内で指導的役割を担う状態をいかにつくるか、戦力化支援がテーマになります。

戦力化というと言葉が若干強すぎるかもしれませんが、優秀でスキルの高い人材をもったいないことにしない、持つ力を最大限に発揮してもらう、という意味でこの言葉を使っています。

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          もったいないお化けが出るぞ

性別役割分業意識が強い日本においては、まだまだまだまだ子育ては女性が担うと思われがちで、その意識を変えていくのは一朝一夕では難しいことです。企業1社1社が自社の人材の能力を見極め、持つ力を最大限発揮いただくために何をすべきか、考えるべきタイミングだと思います。

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