コラム

働く母、団体立ち上げに挑戦する(前編)

2015.11.26

今回のインタビューのお相手は、横浜市にてASD親子勉強会クレアという団体を立ち上げた原ミチルさん。
ASD親子勉強会クレアは、ASD(自閉症スペクトラム)のお子さんを持つ保護者同士が
知識や情報を共有することで相互に知恵やスキルをつけ、
子供達のこれからを支える力を身につけていくことを目的に発足された団体です。

団体を発足させた理由、団体を運営する上の苦労、そして今後のキャリアビジョンについて、
様々な側面からお話を伺ってきました。是非ご一読ください。

Qまずは、これまでの経歴について教えてください。

最初のキャリアはIT系専門の広告代理店です。営業経験を積んだ後、
制作ディレクターとして勤務しました。その後数回転職しましたが、
結婚に伴う地方への転居を機に退職。3年間ほどではありますが専業主婦も経験し、
その間に長男、長女を授かりました。

第2子の妊娠事由で長男が保育園に合格し、
産後6ヶ月目で歯科医院の受付兼診療助手として再び働き始めました。その後、長男のASDが発覚し、離婚。
現在は横浜の自宅を拠点に、フリーライターとして主にWEB掲載の記事を書いています。

Qお子さんがASDだと気付いたのはいつですか?

長男が3歳の時でした。人が大好きで見境なくコミュニケーションをとったり、
好きなことに深く没頭する傾向はありましたが、男の子のよくある行動の範疇だと思っていました。
民生委員の方の訪問を受けた際に、療育相談を勧められ正直ビックリしました。

翌日、当時通っていた乳児園の先生に相談してみたら、
民生委員の方との会話を根掘り葉掘り聞かれて「調べてもらったら?」と真剣な顔で言われたんですよね。
否定してもらいたい一心で、すぐに療育相談を申し込んだところ、発達検査、専門医の診察など、
どんどんコトが進行していって、気が付けばASDとの診断を受けていました。
気持ちがまったくついていきませんでした。

働く母、団体立ち上げに挑戦する(前編)

Qお子さんの状況もある中で、育児と仕事の両立は大変だったのではないですか?

そうですね。ASDの知識をインプットしたり、同じ境遇の先輩保護者の方にお話を伺いに行ったりと、
色々忙しかったです。保育園探しも苦労しました。特に横浜では、
やっと決まった入園先が兄妹別々の離れた保育園だったので、年度が替わるまで半年間、
送迎に1日5時間を費やしていました。仕事は、子供のケアのために平日に休みを取る必要があると考えて、
思いきってフリーライターに挑戦することにしました。

現在は独身時代のつながりでお仕事を頂けている状態です。発注元のご理解に恵まれ、
休みの調整には本当によく対応していただいていて、その点での精神的な辛さはとても少ないです。
とはいえ、最初の月収は5万円。未経験からのスタートだったので、いわば修行の身。
妥当なのだとは思いましたが、正直シビレました。

Qそのような大変な状況の中で、なぜASD親子勉強会クレアを立ち上げたのですか?

横浜市の療育センター等では、就学前までと中学生以降は対応してもらえるものの、
小学生期は診察のみで、療育を受けることができません。早期療育はもちろん重要ですが、
思春期への移行をする小学生期もとても大切な時期です。成長に応じたケアが必要なのですが、
公的支援は途絶えてしまいます。個別に民間のサービスにお願いする方法もありますが、
大抵は非常に高額で手が出ないか、供給量が不足していて中々利用できません。
長男と同じ療育クラスのお母さまたちも、同様に就学後に対して大きな不安を抱えていました。

支援の穴は、親が勉強して専門性を高めていくことで埋めるしかないと思いました。
そこで、個々人がそれぞれに日常と勉強を両立しようとするより、書籍や講演会を探す作業などを分担したり
知識やスキルの共有を行なえるグループを作れば良いと考えたのです。スタートさせるまでは、
周りからうっとうしがられるんじゃないか、人が集まらないんじゃないか、などと悩みました。
でも、子供の成長は待ったなしです。今やらなかったら…という焦りもあって思いきって踏み出しました。

後編につづく…

 

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