コラム

働く母、多様性溢れるチームをリードする(後編)

2017.4.10

Q. 出産して産後5ヶ月でフルタイム復帰。想像と違ったのはどの辺でしたか。

言ってしまえば、「世間の風の冷たさ」でした。
例えば、子供が熱を出して急に休まなければならなかったりする訳ですが、「それはあなたの問題なのに、なぜこっちがカバーしないといけないのか。カバーは出来ません。」とハッキリ言われたものでした。
仕事というものは厳しいものだと思っていましたし、わかっているつもりでしたが、苦しかったですね。
もちろん、理解してくれる人がゼロだった訳ではありませんが。

業界や職種の特性の影響も大いにあったと思います。

音楽業界に限らず、クリエイター系の仕事は土日夜関係ない働き方が当たり前だったりします。仕上がり間際は徹夜も当たりまえ。私も明け方寝て昼間に出勤するような生活をしていましたし、徹夜もしていました。
加えて、音楽業界の仕事というのは夜に偏っています。例えば、ミュージシャンを知らなければ映像は作れないので、ライブに行くのは非常に大事なことなのですが、ライブは基本的には夕方から夜の時間帯ですしね。

となると、当然ながら働くお母さんなんて全然居ない。音楽映像ディレクターという職種においては、女性すら少なかったです。
でも、その仕事の仕方はもう無理です。まずは土日・夜に仕事をしないこと前提に、自分の仕事の時間を組み直しました。受ける仕事と受けない仕事を、意思を持って選別していきました。

Q. 結果、仕事と子育ての両立はうまくいったのでしょうか。

結論から言うと、2人目の妊娠を機にギブアップしました。素直に、10名規模の会社でこれ以上迷惑も負担もかけられないなと思い至りました。
その後、子育てと両立しやすい時間帯の仕事を探しての転職活動を始めました。合間に、依頼の来た仕事をフリーランスとして少し受けていましたが。

働く母、多様性溢れるチームをリードする(後編)

Q. 「音楽映像ディレクターとしての自分」との間に、葛藤はなかったのでしょうか。

まだ折り合いがついていない部分もあります。自分のやりたいことと、自分に求められることの間で。でも今は、子育てが最大優先事項だから。

そんな時にLIFE STYLE㈱に出会いました。Wantedly(ソーシャルリクルーティングサイト)でスカウトを受けたのがきっかけです。
当時のLIFE STYLEは、まさに360°動画の事業をスタートしようとしていて、その担い手としてのオファーでした。
360°動画はもちろん未知の世界でした。これまではデザインと編集で「何を見せるか」を考えていましたが、360°動画は「何を見ようとするか」を考えて計算する、いわば空間演出の世界。正直、「物足りないかも。満足できるかな。」と思わなかったわけではありませんが、360°動画の世界を知り始めると、ワクワクしてきたんです。「これは10年先には当たり前になるかもしれない世界だ。そこに、今関われる!」って。

Q. 現在は360°動画制作チームのマネジメントを担っています。それも、多国籍のメンバーで、相当ダイバーシティあるチームのマネジャー。もともと「管理者よりは制作者でいたい」とおっしゃっていましたが。

その通り! でも、楽しいです。
結構チャレンジしてますよ、私(笑)。
マネジメントなんて出来てない。みんなにも、「上司じゃなくてHUBだと思ってね」と伝えていますし、英語もそんなに得意ではないので、かなり「気持ち」でやり取りしています。
国籍も言語も多様なメンバーで構成されているチームなので、チームビルディングは常に課題です。日々向き合っています。
私がメンバーとのやり取りで心がけているのは2つですね。良し悪しの判断は明快かつ厳格にすることと、一方で伝え方は柔らかくすること。
あと、座右の銘の「公私混同」の実践。

働く母、多様性溢れるチームをリードする(後編)

Q. 座右の銘の「公私混同」。もう少し教えてください。

私は、なるべく仕事もプライベートも混在で行きたいと思っています。
音楽映像ディレクター時代、24時間一緒に仕事していた仲間とは、本音で話せる関係が当たり前に築かれていました。悪いとこ、嫌なとこも、全部認め合い、本気でやりあえる関係。結果、いい仕事が出来ていた。そして今も、当時の仲間との絆は強く、仕事の依頼もあります。

そんな「公私混同」のチームで仕事がしたいのです。
本当の意味で補完しあえるチーム。本音で意見をぶつかり合わせることで、結果、良い作品が創れるチーム。

立場や役割は変わりましたが、制作者として良いものを創っていきたいという気持ちは変わっていないこと、こうして話しながら気付かされます。

Q. 仕事と子育ての両立については、今はどんな感じですか。

私はこれまでいわゆる“9時〜18時”の時間で働くことをしてきていない人ですから、実は、この時間感で仕事をすることにようやくこなれてきた感じだったりします。音楽映像ディレクター時代は、寝るのは3時4時で昼から仕事 の時間感だったので。仕事と子育ての両立による私自身の大変化は、朝型人間になったこと。

旦那さんは同業者なので、業界・職種上、基本的には戦力外かな(笑)。あ、でも朝の保育園への送りは基本的には旦那さんです。早朝ロケや出張がなければ。それ以外は全て私です。今はそういうタイミングなんだと思っています。神様が、「少しペースダウンして子育て優先で行け」って言ってるんだな と。

保育園のママ友には結構頼っています。みんな働いているから良くわかってくれるし、頼みやすい。結構グルーヴ溢れる人がいて、「やばい、お迎え間に合わない!」って言うと、「OK!代わりに行くよ!」って、すぐに対応してくれたりします。

Q. ワーキングマザー目線では、フリーランスのほうが働きやすい環境が得られるのでは? と、思ったりもするのですが、フリーランスを経験し、改めて正社員として組織に属して働いていてどうでしょうか。

そうですね、やはりフリーランス的な働き方が好きです。
これは私の個人的な考えであり、希望なのですが、タイムマネジメントは個人にもっと求めていくべきだと思うのです。会社に居る=仕事をしている=成果を出している では無いですから。
でも、若手にそれを求めるのは厳しいかなと思います。やっぱり、ちゃんと見ている人、管理してあげる人が必要かなと。
今後、LIFE STYLEにもフリーランス的に働くための選択肢を設けていくことを求めていきたいとは思っています。

Q. 最後に、今後のビジョンを聞かせてください。どんな未来を描いていますか。

私はビジョンを描いたことはありません。いつも、出会って閃いちゃうので。
だから、そう聞かれてもパッと浮かばないのですが、、、。

そうですね、今のチームで大きなプロジェクトを完成させたいとは思っています。何か、すごい作品を創り上げたい。
あとは、360°動画の世界を広げていきたい。バーチャルリアリティ(VR)が、例えばGoogle MAPのストリートビューのように当たり前の存在になっている未来を想像して、ワクワクします。

プライベートでは、家族旅行に行きたいかな。旦那さん忙しくて、なかなか長期の休みが取れないのですが。
あと、上の子が小学校なんですよ、この4月から。放課後、家で「おかえり」と迎えてあげることは出来ないけど、ご飯はちゃんと作りますよ!

※360°動画って? という方は、是非こちらを御覧ください
Experience The Alps VR

 

Contact

株式会社bouquetのサービスや、お仕事に関するお問い合わせはこちらから。

お問い合わせフォームへ